日々前進

日々の気づきを書いてます

高い勉強代と、かけがえのない指輪

結婚して1年で、結婚指輪を失くしました。
旅行から帰宅し、翌朝起きたときには手元にありませんでした。
旅先のホテルや飲食店、交通機関まで電話をかけましたが見つからず、結局諦めることになりました。
落ち込む私に、主人は「やっぱりね」という表情。物を失くしやすい私はいつかは指輪も失くすと言われていました。
指輪を選ぶときに「どうせ失くすから安いのにしな」と言われるも、意地を張って高価なものを購入し、結果1年でこのざまです。
主人は指輪をしない主義なのでペアリングではありませんでしたが、二人の結婚資金で買った大切なものです。申し訳ないやら情けないやらで、紛失後数週間はかなり落ち込みました。
これに懲りて指輪をするのはやめようとも思いましたが、無いとやはり寂しくなるものです。
安いフェイクリングを買うにも気に入ったものが見つからず、指輪のないまま1年が過ぎました。


結婚式は主人の田舎の広島で少人数でやりました。その広島に帰省しているときのことです。
ある日、主人が私を外出に誘いました。
ただの買い物かと思いついていくと、到着したのは行ったこともない彫金工房。
疑問符を浮かべながら入店すると、「手作り結婚指輪」のブースに案内されました。
驚いている私に、主人が「高いブランドは失くすとまた落ち込むでしょ」と一言。
気にしていないフリをしながら、落ち込んでいる私をずっと気にかけていてくれたのです。
私は感激して、思わず涙ぐみました。


指輪作成は奥の深い作業で、二人で試行錯誤しながら熱中して取り組むことができました。
出来上がったのはプラチナ素材でダイヤなしのシンプルな指輪。
世界にひとつしかない私たちだけのデザインです。
作成したその日のうちに持ち帰ることができ、出来たての指をつけて鼻歌交じりに帰宅しました。
ちょうど私の誕生日の1週間前で、最高の誕生日プレゼントにもなりました。


最初の指輪を失ったのは高い勉強代でしたが、それを無駄にしないように新しい指輪を大事にしたいです。
主人は「高いブランドは失くすと落ち込む」と言いましたが、実際はこちらを失くした方が落ち込むと思います。
彼の優しさと、二人の楽しい思い出込みのかけがえのない指輪なのですから。